白泉社の人々PEOPLES

「とにかくやってみる」が成長につながる

ヤングアニマル編集部巽 響

絵本志望者が
青年まんが編集に

私は学生時代に経験した児童福祉施設でのアルバイトを通して、貧困や虐待といった社会問題に直面し、子どもに癒しを与える絵本というものに興味を持つようになりました。それで「絵本雑誌の『MOE』に携わりたい」と白泉社を志望したんですが、のっけから青年まんが雑誌の『ヤングアニマル』に配属となり、正直、面食らいました。でも割り切ってやるしかないと踏ん切り、先輩たちに手取り足取り教えてもらいながら仕事に励んでいます。
最初に打ち合わせに参加した作家さんは『ふたりエッチ』の克・亜樹先生でした。1年弱くらいサブの担当者として、打ち合わせや取材に同行させてもらいました。まんがだけでなく、画集の発行にも携わることができて、1年目にしてさまざまな経験を積ませていただきました。
現在は複数の作家さんを担当しつつ、グラビアや記事ページも同時に手掛けています。2018年4月から『3月のライオン』の羽海野チカ先生の担当になり、先生の情熱やこだわりを間近に感じさせてもらっています。
休日は友人たちとすごすことが多いのですが、以前にその交友関係が仕事に役立ったことがありました。急に英語の翻訳が必要になったときに、翻訳を生業にしている友人にすぐに依頼できたのです。普段からの人付き合いも大切だということを実感しました。また、時間があると散歩にもよく出かけます。不思議とそういうときにいろんなアイデアが浮かぶんです。

巽 響

繊細な気配りを
身につけること

もちろん、失敗もたくさん経験しました。たとえば、作家さんからのメールに気づかずに怒らせてしまったことがありました。振り返ってみると、そのメール一つが問題だったのではなく、日常的なコミュニケーションや気配りが不足していたことが原因だったように思います。また、その際には当時の鳥嶋社長から「電話のときの声のトーンで相手の様子を察するのはもちろん、家族の方やアシスタントからも作家さんの状況を知れるようになりなさい」というアドバイスをいただきました。以来、どんなに忙しくても小まめに連絡を取ったり、気配りすることを心がけるようになりました。
社風に関しては「とにかくやってみろ」という感じが強いように思います。その分、割り振られた仕事だけでなく、果敢にチャレンジできる環境がありますし、先輩たちもそれを後押ししてくれます。また『ヤングアニマル』ではほかの雑誌などで活躍している作家さんにも声をかけることが多いので、空いた時間があれば自分がやりたい企画を練り上げ、それを表現してくれそうな作家さんを探し出し、コンタクトを取るようにしています。その一方で先日、自分で手掛けた初の単行本『Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます』の売上が良く、重版がかかりました。編集者の喜びを感じることができたので、この調子で編集者としての腕を磨いていきたいと思います。

巽 響

編集長からひとこと ヤングアニマル編集長 永島 隆行 ヤングアニマル編集長
永島 隆行

1年目から優秀でしたが、2年目になってからは自分で作家にコンタクトを取るなどさらに積極的になっているので、この勢いで自分の“強み”と“色”をより明確に打ち出せるようになってほしいですね。「絵本好き」という青年まんが誌らしからぬ感性にも期待しています。