先輩社員に聞くリアルな現場の「おもしろさ」

編集者として輝くための場所づくり。
時代に合った、新しいまんが賞を。

入社2年目から2018年の春まで17年間『LaLa』編集部に在籍して、2016年からは編集長を務めていました。今はキャクタープロデュース部として、「マンガPark」と「マンガラボ!」の運営に携わっています。とりわけ「マンガラボ!」のローンチは、私にとって念願が叶う仕事でした。ここ数年、従来のまんが賞の応募が減ってきているのを感じていて、その状況をどうにか改善したいと考えていたんですね。

大きなきっかけとなったのは、2017年に白泉社が企画した「即日デビューまんが賞」です。その日に持ち込まれた作品から大賞を決定して、さらに賞金100万円を手渡しするという豪快な取り組み。しかも同日に「マンガPark」で配信されてデビューできるという、かつてないスピード感の取り組みだったんですね。そこにはたくさんの応募があって、即反応・即結果というのが今の時代にあっているのだなと痛感した瞬間でもありました。

作家を見つけたい編集者とデビューしたい作家さんの接点をつくりたい。『花とゆめ』『LaLa』など白泉社の少女まんが全誌が共催する「白泉社少女まんが新人大賞」を来年どうするかという話があったときに、新しいやり方を考えようということで、私は既に決まっていた異動先の現部署で、何か仕組みを考えたいと思いました。
これが「マンガラボ!」のはじまりです。

「コラボまんが大賞」というキラーコンテンツ。

「マンガラボ!」は2019年2月にローンチしましたが、蓋を開けてみたら、まったく応募がなかったらどうしよう…と怖くなる部分もありました。白泉社はデジタルから遠い印象がありましたし、白泉社の賞に応募する作家さんとTwitterなどに作品をアップするユーザーはタイプが少し違うかもと感じていたので。ところが、いざ始まってみると、驚くほど投稿が流れ込んできて。嬉しかったのは、他社を含めてまだどこにも投稿していない作品が集まるようになってきたこと。今はとてもいいサイクルができたなと思っています。

「マンガラボ!」のコンテンツに「コンテスト」があります。つねに何かしらのコンテストを行うことで、イベントごとに投稿があるように運営していますが、その中で企画されている「コラボまんが大賞」は大きな特徴です。特に、スフィアさんとコラボした「スフィア×マンガラボ!マンガコンテスト~best friends~」は話題になりましたね。スフィアの4人が審査員を務めて、グランプリ作品をボイスドラマにするという企画でしたが、すごくいい作品がたくさん集まったことをスフィアの皆さんも喜んでくださって。最終的には最終選考に残った12本全部をボイスドラマ化することになったんです。2019年12月に公開されたので、ぜひ聴いていただきたいですね。



作家さんにしてみれば、声優さんが声を付けてくれることってヒットした後のステージだったのですが、まんが賞の中でそのチャンスを作れたのが良かったと思っています。固定観念にとらわれないアイディアを活かしたコンテストを、「マンガラボ!」の中でこれからもどんどんやっていきたいですね。ちなみに、グランプリの作家さんは「マンガPark」で「ほこほこ町へようこそ」を連載しています。

生え抜きの作家を育てて、世界に羽ばたくストーリーをつくる。

『花とゆめ』や『LaLa』は生え抜きの作家さんを育てる文化を大切にしています。私は「マンガラボ!」の宣伝のために全国のまんが専門学校を訪問していますが、高校を卒業してまんがを生業にしようと入学する人たちがたくさんいるんです。しかも、ダイヤの原石として可能性を秘めている学生も少なくない。既にファンに支持されている作家さんがウチで連載してくださるのはもちろんウェルカムだけど、やっぱり白泉社のDNA的に、はじめてまんがを描いた人からヒット作が出て、世界に羽ばたくストーリーをつくっていきたいですね。それが「マンガラボ!」から生まれていけば最高です。

「マンガラボ!」は作家さんが才能を伸ばすことはもちろん、編集者も力を発揮できる場所になると思います。ここではベテラン編集者も1年目の新人編集者も作品にコメントできる同じ土俵に上がる。たとえば、3月に投稿してくれた作家さんが8月から「マンガPark」で連載を始めて、毎月ベスト3にランクインしています。作家としての人生がここで変わっていくように、編集者も素晴らしい才能と出会って、速いスピードで結果を出していけると思うんです。白泉社に入社したら、「マンガラボ!」を有効活用してほしいですね。
きらりと光るもののある作家さんと出会って、編集者として輝くために。

ところで、私には5歳の娘がいます。彼女はまんがのいいモニターとしても育っています(笑)。
「マンガラボ!」を通じて、娘の心に響くまんがをつくりたいという目標ができました。

私の仕事はイラスト1枚でも世界が変わるのがおもしろい