#03

巽 響

kodomoe編集部 / 2017年入社

育児&絵本雑誌 編集者の妄想

SCROLL

巽 響さん

巽 響

kodomoe編集部 / 2017年入社

育児&絵本雑誌 編集者の妄想

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HIBIKI TATSUMI HIBIKI TATSUMI HIBIKI TATSUMI

すべての経験を糧にすれば、願いきっと叶う

入社して配属になったのは『ヤングアニマル』編集部で、半年前に『kodomoe』編集部に移ってきました。大学時代に児童相談所でアルバイトをしていて、そこで出会った2~3歳の子たちが絵本でことばに触れて覚えていく様子を見て、絵本を作る編集者を志し、就職活動をしました。ところがいざ入社してみたら配属されたのはまんがの編集部。「絵本の部署に行けるのは20年後かな」なんて社員の方に言われていたのが、5年目にして『kodomoe』編集部へ異動になりました。会社でも思いは言い続けていたら叶うこともあるんですね(笑)

『ヤングアニマル』編集部では、まずは『ふたりエッチ』の克・亜樹先生はじめ連載作品の担当を引き継ぐことで雑誌やまんがの作り方を覚えていきました。1年目の後半からは「小説家になろう」作品が原作の『Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士として暮らしてます』など連載作品の立ち上げ、『3月のライオン』のサブ担当などを経験。羽海野チカ先生が毎回の原稿に全身全霊で向き合い、細部までこだわりぬく姿を見て、この人のために自分は何ができるだろう?と、編集者である自分の存在意義を考える大きなきっかけになりました。

まんが編集時代にも、自分の持ち味を生かして絵本や子どもが登場する作品をと、編集長からリクエストされていました。日本昔話を題材にした『てっぺんぐらりん~日本昔ばなし犯罪捜査~』や、宇宙人少女の子育てに奮闘する『人類を滅亡させてはいけません』は、作家さんとの打合せで、そういった作品の方向性を話したら盛り上がり、連載立ち上げにつながった作品です。『人類を~』では、知り合いの保育園に取材に伺わせてもらうなど、編集者には会社の外での人間関係も大切だなとも思います。

まんが編集とのギャップに戸惑いながら奮闘
まんが編集とのギャップに戸惑いながら奮闘

まんが編集とのギャップ
戸惑いながら奮闘

まんが編集者って、まんが家さんのマネージメント的な要素も大きい。連載が軌道に乗ると、ネームを切るまでのお話の打合せと悩んでいる時のサポート、原稿を受け取った後の作業などが主な仕事で、点で仕事をすることが多いです。一方で、『kodomoe』の雑誌編集は線の印象です。たくさんのプロの力を合わせながら、担当ページは最初から最後まで自分の仕事として、数か月間ずっとその特集のことを考えている。頭の使い方が全然違うので、異動して半年経ってもまだ慣れないですね(笑)

対象への自分の興味が強く求められるところもこれまでとのギャップとして感じています。まんがを描くのは作家さんなので、編集がすべてを知っている必要はないし、そんなことはとてもできない。でも雑誌では、自分がどれだけその企画に向けたアンテナを持っているのか、どの人に取材をするか、どういう切り口にするか、どういったレイアウトにしたいか。自分の色が出るし、引き出しの多さが求められます。自分の描いているイメージが果たして世の中に受け入れられるだろうかという怖さもあります。

一方で、絵本の編集はまんがに近いイメージもあります。『kodomoe』4月号の付録『なにになれちゃう?』はボディペイントアーティスト・チョーヒカルさんの写真絵本で、ページをめくると手がクラッカーになったり、足がイカになったりする楽しい絵本です。「自分の身体で遊んで好きになれる絵本を作りたい」という打合せから生まれたもので、まんが編集の経験が活きていると思いますし、実はチョーさんとは『ヤングアニマル』時代からの付き合いです。どんな経験も無駄にはならず、未来の自分につながってくるのかなと思います。

子どもが新しい世界を広げられるような絵本を作りたい

子どもが新しい世界を広げられるような
絵本作りたい

『kodomoe』12月号では、保育施設「りんごの木」を主宰されている柴田愛子さんにインタビューをしました。取材する場合、まんがでは作家さんの目や腕を通して作品にするので、場をセッティングすること、両者の話をうまく引き出すことが大切でした。『kodomoe』では自分の企画として届けるので、こういう質問をしたい、この人のこんな話を届けたいという思いがより大事だと感じます。それが狙いどおりにカチっとはまると気持ちいいです。

大学生の頃は、学校の先生はクラスの40人にしか届けられないけれど、絵本ならもっと多くの子どもに思いや言葉を届けられると、大それたことを思っていました。でも入社して『ヤングアニマル』や担当したまんが作品、そして『kodomoe』が日本中や時に世界に届くことを実感するようになってからは、逆に身近な人の顔が浮かぶようになりました。どの企画にしても「この人に読んでほしいな」という人や子どもがいるし、その驚く表情や笑顔、ほっとする姿を思い描きながら仕事をしています。

絵本で新しい言葉や世界を知る子どもたちを見てきたので、今度は自分がそういう作品を作りたいと思っています。『ノラネコぐんだん』のように、幼稚園のクラスでほとんどの子が「知ってるー!」って言うような、愛されるキャラクターを作りたいなと思っています。

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白泉社を目指す学生の皆さんへ。白泉社を目指す学生の皆さんへ。白泉社を目指す学生の皆さんへ。

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