業界も騒然、何から何まで新しい! 即日デビューまんが賞

「まんが賞への投稿数をもっと増やしたい!」
ある編集部員が抱えていた悩みを、異なる部署の仲間が共有し、社内5つのまんが雑誌を巻き込んだ一大イベントに発展!
白泉社ならではの持ち味が生かされた、ユニークで新しいまんが賞の完成までの道のり。

  • 増井 章人

    宣伝課 副課長 増井 章人

    1999年入社、LaLa編集部に配属。2012年に宣伝課へ異動し、2015年に副課長に。イベント講演会では司会もこなす。特技はゲーム全般。百均で変な商品を買うのが趣味。

  • 徳重 綾加

    花とゆめ編集部 副編集長 徳重 綾加

    2002年に入社しメロディ編集部に配属。2012年に花とゆめ編集部へ。2017年から副編集長。昨年はチェコでビール、キューバでラム酒を!世界を股に掛けたお酒好き。

  • 高村 亮

    ヤングアニマル編集部 主任 高村 亮

    2011年入社。南の島に行くのが大好き。お勧めは担当作「ペリリュー -楽園のゲルニカー」の取材で行ったパラオ島。白泉社の面接では、冷暖房なしで通年過ごせると我慢強さ?をアピール。

プロジェクト・ヒストリー

マンガPark

マンガParkって?

社内のまったく異なる部署のメンバーが集まって生まれた、白泉社5誌連合によるスペシャルなまんが賞。その日のうちに持ち込まれた作品を審査して大賞を決定、さらに賞金100万円を手渡し!しかも同日に「マンガPark」で配信されデビューまでできるという、かつてないスピード感のある取り組み。

アイデアは、鳥嶋塾から

増井
発端は鳥嶋塾での高村くんの提案だったよね。
※鳥嶋塾:2016年に鳥嶋社長が、40歳以下の社員を4人ずつのグループに分け意見交換の場として実施した社内の取り組み。

白泉社

高村
新人賞を変えたいって提案でした。ヤングアニマルの新人賞に応募してくれる人があまり多くないので、何か新しいことをして応募を増やしたいと思ってたんです。
徳重
社長から、あなたが社長か編集長になったら何がしたい?っていう課題が出たんだよね。私たちのグループは、ここにいる3人と当時はLaLa編集部で今はキャラクタープロデュース室にいる西山くんもメンバーで。
増井
私はその日、社用でどこかに出ていて、途中から遅れて入っていったんだよ。そしたら高村くんが何か提案していて、その案をもとに5誌合同で新人賞をやったらいいんじゃないかって話になっていた。
徳重
そうだ、そうでしたね。
増井
話を把握しようとして、様子を伺いつつみんなの意見を聞いていたら、社長が「面白いから具体的に進めてみよう。ついては年長者の君、取りまとめたまえ」って言われて(笑)。合同の新人賞の企画をみんなでまとめることになったんだよね。高村くんに、まず他社の新人賞を片っ端から調べてもらって比較して。
徳重
最初の企画は普通のまんが賞を合同で、と考えていましたよね。どうしたら投稿してもらえるかをメインに、企画を詰めて。イベントもアイデアの1つとして入っていましたね。
増井
1か月後に企画案を社長に見せたら「じゃあ次は社内をどう通す?」って話に。8月1日に全編集長に対してプレゼンしてみようということになって、だんだん話が具体化していった。

編集長たちの同意も獲得!

増井
編集長たちへのプレゼンでは、いろいろなご意見をいただいて。暖かく励ますものもあり、心をガリっと傷つけるような辛口のものもあり(笑)。

白泉社

徳重
いろいろあったけど、1dayのイベントとしてやるなら行けるんじゃないか、って方向性がまとまっていきましたね。
高村
早速、イベントとしてやった場合の企画を練り始めて再提案することに。
徳重
少女まんが4誌合同の「白泉社少女まんが新人大賞」がすでにあって、そこにヤングアニマルが加わるだけだとあまりインパクトがない。だから投稿者を増やすためには、もっと注目を集められる“お祭り”を考えないといけないんじゃないか、って。
増井
それを踏まえてイベント型の企画を1か月後の9月1日に再び提案。私が会場の下調べや予算取りの面をまとめて、あとはみんなでお祭りの部分のアイデアを出し合って進めていったよね。徳重さんにはスケジュールや実際に行うときの段取りなんかもまとめてもらって。
徳重
開催日をここにするなら、告知や応募はこのあたりから開始してとか実施するまでのシミュレーションもしたり。
増井
再プレゼンの結果、最終的に開催する方向で進むことになって、これ以降は編集長たちが各編集部や宣伝課などから実務メンバーを募って全社を挙げて取り組んでいくことになった。
徳重
増井さんと私は、企画立案から引き続き、イベントの実施までサポートしていくことになりましたね。

実施に向けて、さらに社内連携

増井
実務になってからは、さらに社内のいろんな人との連携が始まって。私は主に宣伝を担当したんだけど、特設サイト用に制作した映像は面白いものができたと思う。
高村
作家さんが実際にまんがを描いているところを早回しにして見せる映像ですね。担当していても、なかなか作家さんが絵を描く一連の作業を見ることはないですから。貴重だし面白かったですね。
徳重
ミユキ蜜蜂先生と若杉公徳先生、林みかせ先生が全面的に協力してくださって。
増井
あと、せっかくの機会だから普段あまり顔を出すことがない編集者の顔出しをしようと思って、ヒット作を作った編集者のインタビュー映像も作ってみたんだ。

白泉社

高村
羽海野チカ先生の「3月のライオン」担当の友田さん、緑川ゆき先生「夏目友人帳」担当の佐藤さん、鈴木ジュリエッタ先生の「神様はじめました」「トリピタカ・トリニーク」担当の久良知さんの3人でしたね。
増井
映像はショートバージョンも作ってTwitterにも投稿して、けっこうリツイートされて評判もよかった。徳重さんは当日に向けてのスケジュールを組んだり、運営マニュアルを作ったりしてくれたよね。
徳重
私はイベントの内容とか会場レイアウト、展示、人員の配置などの担当でした。当日、作品を持ち込んでもらい、5誌の編集部員で手分けして批評してから、編集長たちに回して審査するという流れをあれこれシミュレーションしながら、どういう配置や段取りにしたらスムーズに行えるかを考えるのはいちばん苦労しましたね。
増井
とにかくその日のうちに大賞を決めて、賞金を手渡し、マンガParkに掲載しないといけないんだからね。よどみなく進行するよう慎重に検討したよね。
徳重
あと、作家さんの講演のキャスティング。作品を持ち込みしてくれて、批評が終わった人だけが作家さんの講演を聴けるという仕組みにして。三浦建太郎先生とあきづき空太先生・鈴木ジュリエッタ先生が出てくださいました。
増井
お話の内容なども事前に調整してね。私は、当日の司会もやらせていただきました。
高村
講演は社内でも好評でしたよね。なかなか生で、先生方のまんがの作り方とか、考え方を聴ける機会なんてないですから。すごく貴重な場でした。参加者の皆さんたちも興味をもって聴いてくれたようでよかったですよね。
増井
講演の映像は、社員にとってもすごく役に立つ内容だったから、当日来られなかった社員のために社内のサイトにもアップしたんだよね。

嵐を呼んだ、まんが賞

徳重
最後の最後の会議で、授賞式の時には賞状とか必要なんじゃないって誰かが気づいて。副賞も用意していたんですけど、これ現物を渡すの?目録でいいの?とか細かいことにようやく目がいったりして。現金を渡すのなら会社の金庫に保管しておいて…とか、いろんな話が出てきて。
増井
今だから話せるネタだけど、本当は防犯も考えて、会場で現金を渡す予定じゃなかったんだよね。でも社長が「やっぱり現金を渡そうよ」ってアイデアを出して。式が始まる10分前ぐらいに。それで経理の人が会社まで走ってなんとか間に合った(笑)。
徳重
でもいちばんの誤算というか想定外だったのは天気。
高村
まさか当日、台風が来るとは思いませんでしたね。
増井
あれは計算外だったけど、何とか無事に終えられてよかった。社内でも普段はできないような共同作業ができたしね。
高村
僕も当日は持ち込み作品の批評要員として参加して、生まれて初めて少女まんがの批評をしました(笑)。あと、地方から来た方で、途中の新幹線の中で描き上げてきたっていう人がいてぎりぎりトーンが貼り終えていなくて、ちょっとだけ辛い点の審査になってしまったかな。
徳重
いろんなドラマがあったよね。あ、私が最初に見た投稿者さん、ヤングアニマル賞を取ったよ。
高村
ほんとですか!ヤングアニマル編集部にいると、花とゆめとかLaLaとか少女まんがの編集部の人たちとは、飲み会とかでは会っていても、実際にどんな仕事のやり方をしているかは詳しく知らなくて。このイベントを通じて、自分のやり方との違いを知れたのもよかったです。

白泉社らしいイベントに!

増井
白泉社は社員100人くらいの会社だけど、それでも少女まんがと青年まんがではカルチャーが違うところもあるし、それが一つの事を一緒にできたのは意味があったと思うな。
徳重
そう、規模が小さいからスタッフのシフト表を作るときも全員のことが大体わかる。この子は少女まんがの編集もやったことがあるから大丈夫かなとか。あと、こいつは朝早く呼ぶと怒るだろうなとか(笑)、大体わかります。
増井
それも白泉社のいいところだね。会議を招集したり、書類に印鑑をもらうのも比較的簡単。社内の横連携をとるとどうしても書類に押す印鑑が増えるから(笑)。

白泉社 西山桂輔

高村
大賞受賞作品もとても素晴らしくて、他の受賞作もいい作品が集まったよって各編集部に言われたときは、苦労も多かったけどやれてよかったなと思いました。
徳重
これが初めての投稿って人がけっこういて、これまで白泉社に投稿してくれていた人とは別の投稿者に知ってもらうという目的も、ある程度達成できましたよね。
増井
終わってみたら白泉社らしいまんが賞になったよね。大賞の作品も無事、その日のうちにマンガParkに掲載されたし。ということで、この「即日デビューまんが賞」、好評だったので続けて今年もやることになったから、みんなよろしくね。
徳重
もう嵐は嫌なので、台風シーズンは避けましょうね。今年も私は幹事として関わりますよ。
増井
僕も引き続き宣伝として関わることになると思う。
徳重
各編集部からメンバーが招集されるから、高村くんは次は絶対、立候補ね。
高村
はい、がんばります(笑)。最初はヤングアニマルへの投稿を増やすことだけを考えていたけど、5誌合同でやれてたくさん発見がありました。デジタルで済むことも増えて来るとは思うけど、そんな中で、リアルの場で直接、作者と編集が会うってこともやっぱり意味がありますよね。
徳重
今後この賞が続いていって、持ち込み審査の日と講演の日を分けたり、物販デーを設けたりしたいし、白泉社祭りにして、まんがを描かない人にも来てもらえるイベントにできたら…とか夢は広がりますよね!
あと今は、ソフトさえあれば背景からなにから描き起こせるので、誰でもまんがを描くことができる時代。まんがを描くことが身近に感じてもらえるお祭りにしていけたら良いな。
増井
反省点もたくさんあるけど、ひと言でまとめると面白かったよね。課題もまだまだあるし、前回と同じことをやっても飽きられるプレッシャーもある。でも徳重さんも言ってくれたみたいに、やりたいこともいっぱいあるし。まずは初回大成功、ということで。次回につなげていきましょう!

白泉社

就活生へメッセージ

  • 増井

    勇気をもって
    情報を整理!

    就活中は資料や情報が溜まってくると思いますが、情報が多すぎても迷いが生じるもの。思い切って情報を整理してすっきりさせることをお勧め。

  • 徳重

    聞かれたことに
    ちゃんと答える

    面接のときに緊張のあまり、聞かれたことと違うことを話してしまうことが。焦らずに何を聞かれているか、ひと呼吸おいて考えてから答えてみて。

  • 高村

    自分の気持ちを
    ぶつけよう!

    この時代に出版社を志望するあなたは、決意のある方だと思います。自分が出版業界で働きたいという気持ち、情熱をそのままぶつけてください!

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