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イベント・特典情報

イベント

歴代花ゆめ編集長座談会~レジェンド編~ こぼれ話

2024.04.30

花とゆめ50周年を記念して3種類の座談会企画を実施♡

現在発売中の花とゆめ10・11合併号(販売期間:2024.4.19~2024.5.19)では

「歴代花ゆめ編集長座談会~レジェンド編~」を掲載中!

記事に入りきらなかったこぼれ話をこちらでお届けします♪

 

 

<現場の時の思い出>

菅原「当初FAXがなかったんですよ。ネーム遅い作家さんは先に写植(※1)を打たないと校了に間に合わないんで、電話で取ってたんですよ」

友田「ネームを?」

菅原「ネームを口述で。地方の作家さんだったんだけど、電話で『咲いた、改行、咲いた、改行、桜、丸』みたいな。それで写植を打っていたから、6ページの漫画とかでも1,2時間かかってたね。それが今でも結構印象に残っている」

友田「僕は入社当時はヤングアニマルで」

高田「新谷先生のところに詰めてたよね」

友田「そう、新谷かおる先生のサポートで入って、入社3週間くらいでとりあえず仕事場行けって言われたんだよね。仕事場に着いたら(他社の)原稿終わるまで待ってろって言われて、他社の原稿終わるまで待って…。新谷先生に『終わったけど君はどうする?』って言われて、『とりあえず会社からはずっとここにいろって言われてます』って答えたんだけど『そうか、ここは適当に使っていいから。じゃあ俺は寝る』って。すげえ会社だなって思った。いい加減だったね(笑)ただまあいい加減というか、何をやるにしても今とは違ってすごくアナログだったなっていう印象だ。だって写植とかも……トレぺ(※2)切って貼って。あれが無くなったのが今から10年ちょっとぐらい前でしょ。昔は紙焼き(※3)っていうのがまだ存在しましたからね。さらにその前は…」

一同「亜鉛版(※4)(笑)」

菅原「あれって最後に印刷所に渡す時に校了紙(※5)と版画のように左右逆になっている亜鉛版を一緒かどうか確認して渡すっていう作業があるんだけど、魔夜先生の『パタリロ!』って基準枠線(※6)で描かれていて、変形コマがなくみんな同じように見えるので、面付け合わせ(※7)がめちゃくちゃ大変だった。同様に原稿の順番と校了紙の順番が合っているかの確認作業も大変だった」

高田「一緒だから」

菅原「そう、でもこれで間違えたら大変なことになると思って(笑)」

高田「もう面付け間違いは大罪ですから」

菅原「ほんとだよね(笑)」

友田「でもそうやって苦労して校了してた『パタリロ』、読んでましたよ」

高田「僕も読んでました」

友田「『パタリロ』と『スケバン刑事』は読んでたなあ」

高田「『ガラス(の仮面)』とね」

友田「そうそう『ガラス』とね、その三本は読んでた。入社当時そういう意味ではハードだったよね。高田君美内先生のサポートだったし」

高田「昔の花ゆめは美内先生か和田慎二先生の手伝いっていうのが新人のメインの仕事でね。

僕と友田君は同期だけど、実は同期がもう一人いて。当時は僕が美内先生で彼が和田先生の手伝いでした。まだネクタイしてたから、5月とかだったなあ」

友田「ゴールデンウイークちょっと過ぎたあたり」

高田「初めて美内先生のところに行った時、当時の担当に『これを新興社(※8)さんに持って行ってくれ』って言われたんだけど『分かりました、ところで新興社さんってどこにあるんでしょう』っていう(笑)」

友田「そう(笑)昔って本当に何にも教えてくれないよね。写植取ってとか言われて、写植取るって何?!って」

高田「リード(※9)の写植とかは打って新興社さんにおいてあるから、それを扉に貼り付けて入稿してくれって。貼ったことないんですけどどうしたらいいんでしょうか……って。もうその場その場の感じでやってましたよね」

友田「もう現場の人も必死だから、そんなのいちいち教えてる余裕もないし。誰かに聞けよって。新興社の人が教えてくれたりするんだよね、結構親切に」

菅原「美内先生は本当に〆切間際になると仕事場からいなくなっちゃうんですよね。

ネームをやりに外に行っちゃうんですけど、それを探すのがまた担当の仕事で」

高田「吉祥寺の喫茶店マップっていうのがあって……先生ここじゃなければここの可能性が高いって(笑)」

菅原「ある日それで美内先生を探してたら、珍しく何軒目かで発見して、ネームやってるのかなって思ったらビッグコミックスピリッツを熱心に読まれていて…「先生それは……!」って愕然とした思い出はありますね」

友田「それは声かけたんですか?」

菅原「かけますよ!(笑)だって進行具合を確認しないともう、印刷所とスケジュール調整しないといけないしさ」

友田「じゃんじゃん(印刷所から)電話かかってきてましたしね」

高田「入社当時って作家さんのところに詰めるのと、先輩の便分けばっかりやってた。便分けっていうのは30ページの漫画を30ページ全部上がるまで待ってられないから、5ページ上がったら5ページ製版所(=新興社さん)に、次の便でまた7ページくらい持って行って…っていう」

友田「そうしないと作家さんにプレッシャーがかからなくて…。もう待てないんだ感を出しておかないと、作家さんはやっぱりクリエイターだから時間をあるだけ使うんだよね。便分けして早くなってるのかは微妙で、今考えると30分くらいとかの話なのかもだけど(笑)」

高田「今でいうコスパとかタイパとかはね」

友田「いやもう、悪かったと思うけどやったよね~」

高田「便分けは色々な先生のところに行ってますね。川原先生のところも行ったし那州先生のところも行ったし」

友田「花ゆめはさ、一回が大体30枚で長いから頻繁に便分けがあったよね」

 

 

<用語解説>

※1【写植】まんがに入る文字のこと。感情やシチュエーションに合わせ書体や文字の大きさを調節するのが編集者の仕事。当時は印刷された文字を切り抜いて原稿に直接貼っていた。

※2【紙焼き】製版処理後のフィルムを印画紙にプリントすること。

※3【亜鉛版】亜鉛版が製版の版下として用いられていました。

※4【校了紙】原稿と写植を一体化させたうえで、部内で回覧が終わった状態のもの。

※5【基準枠線】原稿用紙にある枠線のこと基準枠の中であれば印刷が多少ずれても印刷が切れることはない。

※6【面付合わせ】校了紙のページが正しい原稿の順番に並んでいるかチェックする作業。間違えると一大事。

※7【新興社】白泉社の製版作業を行ってくれている会社さん。編集部の人間はもれなく全員お世話になっている。

※8【リード】まんがの扉ページなどに書いてあるアオリ文。編集者が考える。

 

 

その他座談会企画も要チェック♡

ザ花とゆめアニバーサリー(販売期間:2024.4.24~2024.7月末)にて

「山田南平先生×日高万里先生×高尾滋先生SP座談会」が掲載中!

 

花とゆめ50周年HPにて「歴代花とゆめ編集長~現役編~」の座談会動画が公開予定♡

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