HAKUSENSHA
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  #01
 
花とゆめ編集部
2023年入社K.I 
 “少女まんがらしくないこと”に、 片っ端からチャレンジしたい!
I N T E R V I E W プロデューサーインタビュー
内定後に一番惹かれたのが『花とゆめ』作品
 何かを生み出すのに携わる仕事をしてみたいという思いから、就活では好きなまんがやアニメなどのエンタメ系全般を受けました。中でも白泉社はまんががメインの出版社。まんが編集者になれる確率が高い、好きな仕事に最初から携わることができそうという期待を抱いていました。また、面接の際、会社や雑誌のことだけでなく、私自身のことを一番聞いてくれたのが白泉社だったため、親しみやすく働きやすそうな出版社だなという印象も持っていました。
もともと男性向けまんが・アニメが大好きで、面接時の第一志望はヤングアニマル編集部でした。しかし内定から入社までの間、会社が用意してくれた過去作品を読み漁るうち、自分が一番惹かれたのが『花とゆめ』の作品であることに気づいたのです。特に、昔から家族で愛読していた『暁のヨナ』はもちろん、『恋に無駄口』といった作品の世界観に引き込まれ、自分も『花とゆめ』ファンの一人に。入社時には花とゆめ編集部を志望し、無事配属となりました。
現在は連載7作品を担当しています。このうち2作品が前任者からの引き継ぎで、あとはすべて自分が企画立ち上げから携わった作品になります。編集の仕事は、作家と打ち合わせを重ねてまんがを作ることはもちろん、読者プレゼントや付録の企画、本誌に掲載される記事ページの作成など多岐にわたるため、時間を効率よく使うスキルが磨かれますね。特に『花とゆめ』は隔週発刊のため、スピード感があると思います。
引き継ぎ作品も立ち上げ作品も、企画・仕掛けが重要
 
 草凪みずほ先生『暁のヨナ』の担当になったのは入社2年目の春。担当になれたらいいなぁと密かに思っていたので、話が来た時には本当に嬉しかったです。引き継ぎはまず、前任者と一緒に作家に挨拶に行くところから始まり、1か月程は前任者と一緒に並走、その後正式に担当になって完了します。『暁のヨナ』は『花とゆめ』の看板作品の一つ。しかも最終章に突入するタイミング。担当が変わって話の展開に大きく影響が出るようなことはないので、そういった心配は全くなかったのですが、イラストコンテストなど、作品を絡めた企画でファンの方からの反響が大きい作品であるため、ラストに向けてどう盛り上げていくのか、どんな企画を仕掛けていくのか考えなければ…!と思ったことを覚えています。
『おそらくカノジョは俺の兄貴を狙ってる』は、立ち上げから関わった作品の一つ。他社の雑誌で活動していた伊瀬まるの先生に、「『花とゆめ』で“ラブコメ”をやりませんか?」とお声がけして企画がスタートしました。数か月の準備期間を経て、ネーム選考を受け、3話分の原稿を描き溜めて、2025年4月からWEB掲載へ。実はこの作品、男性向けということで編集部内では少し厳しい意見もあったのですが、自分には絶対に人気が出るという確信があり、この作品を見つけてもらうための宣伝に相当、力を入れました。そのため、1話目から反響が出て見事連載を続けられるようになった時には感慨深いものがありましたね。
同作品を盛り上げるために取り組んだのは、主にSNSの活用です。「#漫画が読めるハッシュタグ」で過去に同ジャンルの作品でバズった例を分析し、投稿時間やワード、掲載する画像などを考慮して何度か投稿したところ、そのうちの数回が大バズり。リンクから白泉社のWEBサイトに移り、続きを読んでくれた方が多く、気づけばWEBサイト内で“お気に入り”登録数1位(※)を獲得するまでに至りました。SNS運用の他にも、過去の成功事例の分析やデータ解析など、多角的で客観的なプロデュースを心がけています。 ※2025年9月現在
“少女まんがらしくないこと”に片っ端から挑戦
 2025年10月からは、本誌でたきどん先生の新連載『ひとまず恋に慣れさせてください』がスタート。前作とは違った良さのある作品を目指して企画を練る中、設定はシンプルにして美しい絵で魅せる、というテーマに着地し、たきどん先生があまり描いたことがない“クールビューティー”に路線変更するなど、さまざまな試みを詰め込みました。もともと自分が“クールビューティー”好きなのもあって、ツボを突くキャラ作りを提案できたのではと思います。好きなポイントを作品に活かせるのも、まんが編集者ならではですね。
 
 『ひとまず恋に慣れさせてください』たきどん/著
花とゆめ22号(10/20発売)より連載スタート 
花とゆめ編集部に入って初めて気づいたことの一つが「こんなにかっこいい男キャラがいるんだ!」でした。男性向けまんがの男主人公は、性格が良くなかったりモブキャラみたいだったりしてあまり好きにはなれないのですが、少女まんがに登場する男キャラは、男の自分でも惚れるような、心身ともに魅力的なキャラばかり。これに気づけただけでも花とゆめ編集部に入って良かったと感じられるほど、自分にとっては大きな衝撃でしたね。これからも、男だからこその視点を活かし、深い魅力を持ったキャラ作りや展開を提案したいと思います。そして、今温めている“百合ネタ”をはじめ、“少女まんがらしくないこと”に片っ端から挑戦していきたいですね。就活生の皆さん、まんが編集は好きなことを主張できる貴重な仕事です。プロデュースの経験はなくても大丈夫。心配せずに入ってきてください。
 
『ひとまず恋に慣れさせてください』たきどん/著
花とゆめ22号(10/20発売)より連載スタート