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作家と二人三脚で挑む作品作りは、
“ミニマム”だからこそおもしろい!

INTERVIEW

花とゆめ編集部/2014年入社 O.S

『花とゆめ』は新人作家をゼロから育て守る雑誌

私が明確にまんが編集者を志したきっかけは、大学時代の出版社でのアルバイト経験でした。まんがの編集部で、荷物の受け取りや手配、アンケート集計の手伝い、撮影用小物の調達といった業務を体験させてもらう中で、社員が楽しそうに働く姿が強く印象に残ったのです。「大人になっても好きなことに一所懸命でいられる、エンタメを全力で楽しめる仕事っていいな」と思い、まんが雑誌のある出版社を中心に就職活動を行うようになりました。

入社して間もない頃は、ミユキ蜜蜂先生、幸村アルト先生、堤翔先生、モリエサトシ先生など、すでに活躍されている作家の担当を先輩社員から引き継ぎ、“今ある作品をより大きくするためのお手伝い”をメインに取り組みました。ある程度経験を積むと、今後はまんが賞応募や持ち込みなどで『花とゆめ』に来た新人作家と出会い、連載作家へと育てていく仕事もメインになります。世の中にはさまざまなまんが雑誌がありますが、『花とゆめ』はデビュー済みの作家に声をかけて雑誌に招くというよりも、まだ1作品も発表したことがないような新人作家と二人三脚で成長するというスタンスが強い雑誌です。難しさもありますが、その分やりがいも大きな雑誌だと感じています。

最近で企画立ち上げから関わらせて頂いたのは、柴宮幸先生『幽霊城の旦那様』、月永遠子先生『シンデレラの義理姉に転生したけどふたりの王子に溺愛されています』、楠木薫先生『私はシンデレラに殺された』などです。先日コミックス1巻が発売された「幽霊城の旦那様」は、我儘ご令嬢とまるで幽霊のような城主のマリッジコメディ。結婚モノならではの甘いシーン、それを裏切るようなホラーオチ…など、柴宮先生の良さが発揮されている企画です。まだ若い作品なので、読者からの反応もリアルタイムで感じながらワクワクしています。

まんが編集者として気をつけていることの1つに、“作家がストレスなくまんがを描いてくれること”があります。作品がもっとおもしろくなる展開、読者に喜んでもらえる企画を常に考え、客観的な意見をお伝えしつつ、ベテラン作家にも新人作家にも、描きたいものを楽しんで描いて頂けるようなコミュニケーションを意識しています。また、大事な作品を預かっているんだという責任感もある仕事ですね。

大好きな作家と新しい作品を作る幸せ

実は私、入社前からミユキ蜜蜂先生『なまいきざかり。』のファンで。入社以来、先輩方に「担当させてください」と言い続けて、任せてもらえた経緯があります。ミユキ蜜蜂先生は当時も『花とゆめ』で人気作『なまいきざかり。』を連載中。お忙しいのは重々承知の上でしたが、先生と2人で新しい作品作りをしたいという思いがふくらみ、「3か月に1冊発行の『ザ花とゆめ』の方で新作を描きませんか?」と提案してみました。すると先生も「いいですね、やってみたい」と。『なまいきざかり。』の甘々な2人にはない、ヒリヒリした話にしたいというところからアイディア出しをして頂き、『野良猫と狼』が誕生しました。

実写映画化が決まった『顔だけじゃ好きになりません』も、企画から連載立ち上げを担当した作品の1つです。安斎かりん先生は投稿者の時から一緒に走ってきた作家で、同作品の前にも2作ほど単行本化の連載をご一緒したあと、「そろそろ恋愛が主軸の作品をやりましょう」とお互いになり…『顔だけじゃ好きになりません』を企画しました。特に、作品の中で大きな要素となるSNSについては、編集部内で否定的な意見もありましたが、安斎かりん先生と2人で「これが世に出たら絶対おもしろい」と信じて突き進んできた結果、1巻で重版がかかり、「あの時自分達の思いを押し通してよかった」と感じています。

編集者の仕事は、雑誌掲載用の話作りだけではありません。4〜5話溜まってきたらコミックス化のための再校正やカバー・帯作り、キャンペーン企画なども行います。『なまいきざかり。』では、本誌ではできない話を『ザ花とゆめ』の袋とじで掲載する、という企画も実現できました。アイディアを形にできる仕事の醍醐味を、改めて実感した瞬間でした。

“ミニマム”に始まり、世界中に広がる稀有なエンタメ

私は現在3歳の子どもを育てながら働いています。時には大変なこともありますが、時短勤務や在宅勤務の制度を活用しつつ、大好きな編集の仕事を続けられてきました。最近では特に同世代で産休・育休を取り復職する女性社員が増え、『花とゆめ』編集部の男性社員も育休を取得しています。仕事と育児、プライベートを両立したいという方も、ぜひ安心して白泉社に来ていただければと思います。

まんがというエンタメは、ものすごく“ミニマム”です。映画やアニメは数多くのスタッフが関わって生まれますが、まんがはまず作家と編集者の2人だけの打ち合わせから生まれます。作家の力が第一ですが、2人で生み出した作品が雑誌に載り、コミックスが何百万部も発行され、世界中の人々に読んでもらえるようになる。この感覚と過程はまんが独自のもので、これこそがまんが編集の魅力だと思っています。これから出版社や編集を目指す就活生の皆さん。やってみたいことがたくさんある、才能のある誰かを支えたいという気持ちが強い方は、ぜひチャレンジしてみてください。特に『花とゆめ』は月2回発行で回転が速いため、新しいことにどんどん挑戦したい方にぴったりだと思います。皆さんと働ける日を楽しみにしています。