川琴ゆい華/作
北上れん/イラスト


2013年5月21日
変態攻め一途
シリーズ名 花丸文庫
作品名 妄愛ショコラホリック
巻数 全1巻
作家名 川琴ゆい華/作 北上れん/イラスト
判型 文庫判
内容 大昔のバレンタイン。頭突き付きで振ってやった冴えない男が、超イケメンショコラティエとなって舞い戻った! 十有余年想い続けていたというが、その盲愛と再アタックぶりは完全に変態で……!?
ISBN ISBN978-4-592-87710-3


P28-29.より抜粋

「何……こっ、こんなとこで何言ってんだ」
 エレベーターの扉が開くのと同時に、高晴の横をすり抜けて飛び出した。同じ階で降りた高晴も追ってくる。
「頼朋さん!」
「そもそも名前で呼んでいいなんて言ってない! だいたいお前最初っから俺のことこっそり名前で呼んでたんだろう!」
「好きなんです! 好きだからです!」
 下の名前で呼ぶことも、隣に引っ越してきたことも、目の前に店を出した理由も高晴の行動のすべてが『好きだから』の一点張り。
 こいつはちょっとヤバい。ちょっと……いや、かなり、だ。
 頼朋はぐっと奥歯を噛み、不動の高晴を睨めつけた。
「勘違いしてもらったら困る。お前後輩、俺先輩。お前チョコ屋、俺カフェ屋。それ以上でも以下でもない! あとこれは重要なことだ、よく聞けよ。『もっとマシなチョコ作ってこい』は『また来てね♥ 待ってる♥』って意味じゃない! フランスかぶれでもお前は日本人だろうが。『おととい来やがれ』のニュアンスが伝わらないのか?」
 息巻く頼朋の前で、高晴は眸をひときわ大きくした。
「おとといって…………来られないですよね」
「だから、もう来んなってことだ。つまり俺のも、『どうせならもっとマシなもん作って持ってくればいいのに、もう二度とくんな』が意訳だ」
 きつく言いすぎている自覚はある。
 しかしこんな思い込みの激しいやつに、やんわ〜り、ふんわ〜り言葉を選んでいたところで、再び驚愕のご都合解釈によって事実をねじ曲げられてしまう。あり得るリスクを極力排除すべきだろうと考えたのだ。
 しかし高晴という男は頼朋の目算を大きく斜めに突き抜けていた。
「もっとマシなもの……いえ、今回は最高の自信作なので、受け取ってくれますよね?」
「あの……ねぇ、ばかなのか? それともばかなふりしてる?」
 くらっと目眩がする。まったく会話が成立しない。
 相手にするのもうんざりだ。面倒くささが先に立ち、高晴にいきなり背を向けた。
「頼朋さん! これからもずっと、ずっと好きです!」

続きは文庫で読んでくださいね。