コラム

御右筆頭 村瀬、大奥を語る。

「御中﨟」「御三の間」等、私どもがしたためる大奥での記録の中に、度々出てくる男衆の役職名。それがどんなものか、簡単に紹介いたしましょう。大奥に勤める男衆は、各々決められた役職に就いております。役職は以下のような階級制になっておりまして、器量や才覚によって昇進が望めます。なお、「御台所」とは将軍の正室のこと。「お目見え以上」は、将軍や御台所にお目通りできる身分、「お目見え以下」はお目通りが許されない身分でございます。

大奥の主な役職

お目見え以上
上﨟御年寄 御台所の世話をするために付き添ってきた公家出身の男衆。
小上﨟 上﨟御年寄の見習い。公家出身で、10歳ほどの年少の者たち。
御年寄 格としては上﨟御年寄の下だが、実質的に大奥を取り仕切る権力を持つ役職。
御客応答 大奥を訪れる、大名家や御三家からの使いの接待をする役職。
中年寄 御台所に付き、上役の御年寄の代理として働く役職。
御中﨟 将軍や御台所の身の回りの世話をする役職。一般的に側室は、将軍付きの御中﨟から選ばれる。
御小姓 御台所の小間使い。煙草やお茶の世話などをする。
御錠口 大奥と中奥とをつなぐ出入り口を管理し、中奥との連絡役も務める。
表使 御年寄の指示で、表の役人と交渉する役職。外の品物の買物や外部への連絡を任されている。
御右筆頭 御右筆の長。
御次頭 御次の長。
御右筆 大奥で書かれる全ての、表向きへの文書、書状、大奥内の出来事の記録を作成する役職。
御次 大奥で必要な道具や献上物、御膳の運搬を担当する。主従の対面儀礼に使う対面所の掃除も行う。
切手書 大奥長局への入口・七ツ口を取り締まる。大奥の男衆の親族や、御用達商人の出入りの許可や監察をする。
呉服の間頭 呉服の間の長。
御三の間頭 御三の間の長。
お伽坊主 夜伽に関する連絡の取次や、夜伽の際交わされる会話を聞き、その内容を御年寄に報告する。
呉服の間 将軍や御台所のみならず、大奥内の衣服全てを仕立てる専門職。
御広座敷 御年寄や表使が面会などで利用する「御広座敷」で働く、表使の下働き。
お目見え以下
御三の間 お目見え以上の者たちの、身の回りの世話をする役職。
御末頭 御半下の長。
御仲居 御膳所にて献立や、煮炊きの一切を取り仕切る役職。
お火の番 昼も夜も大奥を巡回して、火鉢や囲炉裏の火の元を監視する役職。
御茶の間 御台所の食事の際、湯茶の準備をする者たち。
使番 大奥の玄関口・広敷に通じる錠口を管理し、広敷役人との取次をする。
御半下 掃除や水汲みなど、あらゆる雑役をこなす。大奥職階の最下級の職。

「大奥 女たちの暮らしと権力闘争」清水昇、川口素生(新紀元社)
「【決定版】図説 大奥のすべて」(学習研究社)