キャラクタープロヂュース部員の告白 キャラクタープロヂュース部員の告白

キャラクタープロデュース部は白泉社の中で最も新しくできた部署。アプリ「マンガPark」とまんが投稿サイト「マンガラボ!」を生み出し、公式YouTubeまんが動画チャンネル「ファウストの劇薬」を開設するなど、デジタルを主戦場としています。雑誌と同じくキャラクタープロデュース部にも編集のスキルは必要とされていますが、その違いとは何なのか。世の中にあまり認知されていないデジタルの編集者の実態とは?

まんが家の力を借りて、デジタルで新しいビジネスを。


ずっとまんがの仕事がしたいと思っていました。それは単純にまんががすごく好きだから。働くとなると、人生のなかの時間を結構使うわけじゃないですか。情熱を注ぐなら、好きなものを仕事にしたい。そう思って出版社を受けました。好きなことだから頑張れるところはありますよね。僕の人生はいつもまんがに心を揺さぶられてきました。白泉社の作品で最初に読んだのは「デトロイト・メタル・シティ」。母親の友人がすごくまんが好きな人で、その人から借りたコミックスで読んでいたんですよ。当時は過激な言葉とかをまったくわからずに(笑)。「3月のライオン」も好きだったので、自分の好きな作品を刊行している出版社で働きたいと思って白泉社にエントリーしました。

2018年に入社して配属されたのは『LaLa』編集部。でも編集部に在籍していたのは1年4か月で、2019年9月にはキャラクタープロデュース部に異動しました。編集部を離れたときは正直ショックでした。期間は短かったし、もっと活躍したかったなって。今はすごくポジティブに捉えていますけどね。

キャラクタープロデュース部の仕事領域は完全にデジタルです。その役割は大きく分けて3つあります。1つは「マンガPark」と「マンガラボ!」の運営。「マンガPark」は主に白泉社のまんが作品を配信しているアプリで、配信作品数は約700、アプリのダウンロード数は800万を突破しています。僕はそこでアプリのダウンロードを促す外部広告の最終チェックや特集のネーミングを考えたりしています。

まんが家の力を借りて、デジタルで新しいビジネスをつくる。
まんが家の力を借りて、デジタルで新しいビジネスをつくる。

「マンガラボ!」は白泉社全誌合同のまんが投稿サイトです。白泉社のすべてのまんが編集者が参加している投稿サイトでもあるんですが、僕達がコメントして投稿作品の良さをフィードバックするほかに、雑誌の賞にあたるコンテストを絶え間なく開催しています。たとえば、異世界マンガコンテストは僕が企画したものです。異世界ものに縛って作品を募集するというもので、合計91作品も集まりました。やりたいコンテストの企画を投げて、実行、取り仕切ることができます。

またコラボまんが賞というコンテストもあって、『LaLa』や『花とゆめ』の編集部が企画して、「マンガラボ!」の場を活用してコンテストを開催することもあります。昨年、11月に開催したラララボ!1dayハイスピードマンガ賞には、『LaLa』の雑誌で連載している呉由姫先生、林みかせ先生、弓きいろ先生、可歌まと先生からもコメントがもらえるということで、かなり豪華な内容でした。

2つめは「マンガPark」に掲載されるまんがを作家さんと作ることです。アプリの運営だけでなく掲載作品の編集も僕の仕事です。いま担当しているのは2作品ですが、春頃からは合計5作品に増える予定です。「マンガPark」の編集業務としてまんがを連載することは、まさにキャラクターをプロデュースすることだと思うんですよ。そこから人気キャラが出てくる可能性は十分ありますから。

3つめはデジタルを軸に新しい何かをカタチにすること。キャラクタープロデュース部は新しいことをカタチにするという部署であって、過去にはアプリゲームの開発に携わったり、今では「ファウストの劇薬」というYouTubeのまんが動画チャンネルを新しく開設して運営しています。まんが家さんの力を借りながら新しいビジネスをつくる。そういったチャレンジングな姿勢が常にあるんです。

継続して読んでもらうために
仕掛けをつくる。

継続して読んでもらうために仕掛けをつくる。

継続して読んでもらうために仕掛けをつくる。 継続して読んでもらうために仕掛けをつくる。

そのほかにも地方の専門学校に行って新人作家さんの発掘も行っています。コロナウイルスの影響で出張は難しくなりましたけど、以前は頻繁に専門学校に行って、そこで「マンガPark」と「マンガラボ!」を紹介しつつ、学生さんの持ち込み作品を見ることをセットでやっていました。今もオンラインで継続してやっています。

学生さんたちと話していて思うのは、若い人たちは雑誌を読まなくなってきているんですよね。新人のまんが家さんたちもまんがを描いたは良いものの、どこで活躍したい、デビューしたいという気持ちが薄い人が多いと感じます。そういう状況の中で「マンガPark」と「マンガラボ!」を紹介する意味は大きいと思うんです。実際に、僕が担当している新しく連載する作家さんも専門学校でコンタクトをとった方ですし。

デジタルでまんがの編集をする楽しさのひとつはまんがの届け方にあります。まんが配信は雑誌よりも圧倒的にスピード感があり、連載が決まったら、原稿のストックさえあればすぐに連載できる。ページ数の制限がない環境なので、おもしろい作品があれば何作でも載せられるんです。読者からダイレクトに反響やコメントも届きます。

「マンガPark」は女性ユーザーが多く、女性読者を狙った作品がウケやすい媒体なので、作るまんが自体は『LaLa』編集部時代と大きくは変わっていないのかもしれません。その一方で、テンポの良さが大切だと感じています。月刊誌では30〜40ページ単位のボリュームなのに対して、「マンガPark」の掲載作品は1回の更新あたり8ページから10ページくらいのボリュームが多い。その中に楽しいシーンを盛り込むことが大事なんです。

また、継続して読んでもらうための仕掛けづくりもより考えるようになりました。たとえば、1話の終わりに引きの要素があって、続きが読みたくなるとか、そういった編集が「マンガPark」では特に大事になってくる気がします。

自分をハッとさせるまんがづくりを。

自分をハッとさせるまんがづくりを。

すごく先のことはわからないけど、スマホ中心の生活はこれからも変わらないし、むしろ加速していく一方だと思います。まんがのジャンルとしても、スマホで読んだときにすぐに刺激を得られる作品が増えていくかもしれません。不倫、異世界転生、TL(ティーンズラブ)モノとか。電車に乗っているとき、寝る前とかに、パッと読めて刺激があるジャンルは「マンガPark」でも人気で、その流れはもっと活発になっていくかと思います。

まんがの形式としても縦カラーまんがが絶対に増えてくるはず。だって、スマホで読んだときの読みやすさは横よりも縦スクロールのほうがスムーズじゃないですか。一方で雑誌に載っているまんがは骨太なストーリーが魅力ですし、雑誌とデジタルどちらの良さも読者はわかっていると思います。だから、棲み分けができていくといいなと思いますね。

僕がやりたいことは入社したときから変わっていなくて。自分が「なんだこれ、おもしろい」と、はっとするようなまんがを作っていきたい。それと同時に、白泉社の利益に繋がることが理想です。新しいチャレンジに対して上司もNOとは言わずに「やってみれば?」というスタンスの環境です。そう考えると、新しい何かにチャレンジできることは刺激になりますし、今後も大きなやりがいになっていくんだと思います。

不安定な世の中だからこそ、就活をたのしもう。

あなたに告白したいこと。

就活って運が左右する部分もすごく大きいと思うんですよ。だから、結果に一喜一憂せずに就活を楽しんでもらえたら一番いいなと思います。こんな不安定な世の中だからこそ。白泉社は新しい企画を始めたい人にはオススメの環境です。風通しがいいので、就活生のみなさんがカタチにしたいことを実現しやすいはず。一緒にお仕事ができる日を楽しみにしています!

不安定な世の中だからこそ、就活をたのしもう。

失敗しない男がした失敗、それは…

性格もあると思うんですけど、僕はすごく神経質で細かい所までチェックするタイプなので、大きなミスはないんですよ。強いて挙げるならばなんだろう。去年にタイアップまんがを担当したんですけど、クライアントの商品の広告を入れ忘れていたくらいですかね。って、いま思えば結構な失敗ですね……。