夏休みスペシャル(うそ)
「私の好きな食べ物本」
こんにちは。ようやく少し涼しくなってきたようですが、
みなさま、元気にお過ごしでしょうか。MOEスタッフのニイムです。
実はわたくし、食物関連の本が好きで、
いつしか拙宅の本棚には、「グルメコーナー」ができてしまったほどです。
でも、実際は料理を作ったり、美味しい店を訪ねるのにはあまり熱心でなく、
何というか、脳内限定食いしん坊という感じです。
ちなみに本棚にはもうひとつ「スピリチュアルコーナー」もあるのですが、
これについて語り始めると、なぜか周りから人がサーッと引いていきそうな
予感がするので、今回は割愛させていただきます。
そんなわけで、今回はおすすめ食べ物本を3冊紹介させていただきます。
なお、今回に限り、取り上げる本は新刊ではありませんので、あしからず。
では、1冊目、『ごくらくちんみ』(杉浦日向子/著、新潮社)。

杉浦日向子さんが、思いがけぬ若さで亡くなられたときは、
市井の一ファンとしてもショックで、しばらくは大好きな彼女のエッセイやマンガを、
淋しさで胸がつかえるようで、読むことができませんでした。
しかし、しばしの時を経て、今読み返すこの本の、
お酒と食べ物の描写の芳醇なことといったら。
珍味佳肴の一品を、一話のテーマにした掌編物語集なのですが、
もうヨダレが止まりません(笑)。
とうふようと泡盛、ふなずしになぜかカルバドス、このこに白ワイン。
定番あり、冒険ありのお酒とつまみの組み合わせが、
舌の上で溶け合ったときの表現の闊達さ、豊かさ。
その美味を夢想しつつも、あらためて、お酒をこよなく愛した杉浦さんの、
短くも充ちたりていたであろう「隠居」の日々に思いが至るのです。
2冊目は、『小林カツ代はこんなにいろいろ食べてきた』
(小林カツ代/著、文藝春秋)です。

意外にも純正大阪育ちの、カツ代さん。
やさしい両親のもと、あたたかい家庭料理で育った少女時代。
商家だったので、街のお店での外食もけっこう楽しんでいたみたい。
その両方の味のエッセンスを身心に吸収して、
今の彼女の料理研究家としての結実があるようです。
だって出てくる関西の食べ物全部、すっごく美味しそうなんですもん。
ぼくのような東京者にとっては、関東であまり見かけないビフカツサンドだとか、
きざみうどんだとか、蒸し寿司だとか、そういったものの描写に、
特に食指をそそられてしまいます。読んでいるだけで幸せになる、
とびきり上等な味わいの「食の個人史」です。
そして3冊目は、『私の作ったお惣菜』(宇野千代/著、集英社文庫)。

文庫になる前の単行本の刊行が1986年だそうですから、
宇野先生御歳88か89の頃の作品となる勘定です。
しゃっきり元気な調理時のお写真とともに、
美味しそうな自慢料理の作り方を、伝授してくださっています。
その「自慢料理」の天心爛漫、のびやかな自慢ぶりがとても愛らしいというか。
すてきなおばあちゃま、という感じで、
まわりから大切にされているというオーラが伝わってきます。
林檎の白和えも鰯の天ぷらも、梅干入りのチャーハンも、
みんな美味しそうですが、特筆すべきは「極道すきやき」。
100グラム3千円はする和牛にブランデー、卵黄、割り下をかけまわし、
胡麻油で焼いてたべるそうです。野菜等は一切ナシ。肉だけ。
でも「みなさんが作るときは、100グラム千円くらいの肉でも、結構おいしい」そうです。
当時米寿を迎えていた宇野千代……いろんな意味ですげー!!
長寿の秘訣が、もしかしてここに!?
以上、今回おすすめの3冊でした。