こんにちは。MOEスタッフのニイムです。
みなさんはお気に入りの読書スポットがありますか?
ぼくの場合、それは「風呂」(もちろん自宅のに限る)。
ぬるめのお湯につかって、
身体も本もふやけるまで読書にいそしむのが快感です。
ただそのせいか、蔵書に謎のシミやごわつきが多発。
とくに花粉舞いくるう今の時期は、
つねに鼻水を一条たらしながら読んでいるので、
気のせいかなんとなく書物全体がシットリしています。
人に勧めたい本があっても、貸すのがはばかられるのが残念です。
と、くだらない前フリはこの辺で、
今回も誰に頼まれたわけでもないけれど、
お勧めの本を3冊、勝手にご紹介させていただきます。
1冊目は『カルトの島』(目黒条/著、徳間書店)。

舞台は、出産数が極度に減って、人工生殖に頼らざるを得なくなった近未来。
生命倫理に関する意見対立の軋轢から逃れるため、日本国民全員が、
どこかの宗教団体に所属しなければいけなくなる、というビックリ設定ですが、
これがゾッとする面白さでした。
昨今問題になりつつある「格差社会」を思い切りデフォルメした描写は、
最初は突拍子もなく思えるものの、読み進めるうち、
そのあやしく歪んだ世界のなかにぽっかり嵌まり込んでしまうのです。
微妙に不条理な展開も、背中のゾクゾク感をおおいに煽ります。
「絵皿の家」という一篇やラストの「ドリンク・ミー・ノット」など、
カフカや安部公房すら想起させる引力がありました。
そして2冊目は、打って変わって、揺れ動く少年少女たちを、
さりげなくも凛とした筆致で描いた
『花が咲く頃いた君と』(豊島ミホ/著、双葉社)です。

4つの短編の主人公は、良い子悪い子普通の子(古い)、みなそれぞれ。
そしてそのそれぞれを襲う青春期のちいさな嵐の描きかたが、
この作者はじつに上手いと思います。
そのなかでも、「椿の葉に雪の積もる音がする」という一篇。
同居している祖父のひっそりとした死、という数多くの人が通過するであろう、
非日常的でありながら、物語にするにはごく平凡な体験を、
こんなにも鮮やかに切り取ることのできるその才能をリスペクトします。
3冊目は昨夏発行で、最新刊ではないのですが……
『谷川俊太郎質問箱』(谷川俊太郎/著、東京糸井重里事務所)。

いわずとしれた詩壇の巨匠が、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」に寄せられた、
何の縛りもない自由な読者からの質問に答えた問答集です。
「なんで人は死ぬの?」といった根源的な問いから、
こんなことよく天下の大詩人に訊くなあ、みたいな下世話な質問まで、
たいへんフラットな態度で含蓄たっぷりに答える著者のすがすがしい温かさ!
人柄がにじみでて、すばらしいです。
ふと気がめいった時など、手にとって何度も湯船で(←個人的に)
読み返したくなるような一冊でした。
以上今回のお勧めでした。













