●いわゆるひとつの初恋の味

　この作品で初めて名前を知ったシャルロットケーキは今も憧れです。好きな人に「うまかった」とか「また作って」と言われるだけでもう、十分報われるし嬉しい。そういう初々しい、もしかしたら大人になってからも、変わらない気持ちが描かれているからこそ、翼ちゃんが日々作るお料理は、たまらなくおいしそうなのかも。

●恋も仕事も全力で！

　一生懸命な姿は、やっぱり人の心を打つし、好きなことをがんばることは、どんなに大変でも楽しいことなのだなあと、この作品を読むと思います。イタリアンレストラン「ピッコロ」で働く面々は、それくらいいつもすっごく嬉しそうに料理を作り、恋をして、毎日くるくる忙しく体と心をフル回転。まかないパスタに釘付けです。

●自分でいるために必要なもの

　まだまだ女の人が働くということや、女だからという理由でいろいろめんどくさいことがくっついて回っていた頃のお話。すっごい美人ですっごい仕事のできるスズにも、気持ちが折れそうになることがある。そんなとき、スズはお隣さんちの団らん（美少年つき）に、突っ込んでゆく。ご飯を食べ酒を飲み、また元気に働くのだ。

●酒は甘露の味がする

　人の言葉をしゃべることができる猫・みかん。言葉を教えてくれたじいちゃんにしか心を許さなかったトムが、かつての自分と同じ名前の少年に拾われ、みかんと名付けられ心を開くきっかけになったのは、なんとお酒。お母さんの作ったまたたび酒でへべれけになるみかんも、みかんと晩酌するお父さんも実に「ごきげん」なのだ。