真船るのあ/作
こうじま奈月/イラスト


2015年10月20日
再会溺愛
シリーズ名 花丸文庫
作品名 おしかけ彼氏とウェディング
巻数 全1巻
作家名 真船るのあ/作 こうじま奈月/イラスト
本体価格(税別) 620円
判型 文庫判
内容 専門学校の学費を稼ぐためバイトに追われている施設出身の結志の元に、突然、八年前に離れ離れになった同じ施設出身の泰惺が現れた。「これからはずっと一緒だよ」と突然告げられ高級外車に乗せられて!?
ISBN ISBN978-4-592-87743-1


P48〜51より抜粋

「おはよう、結ちゃん」
 朝っぱらから清々しい笑顔全開でやってきた泰惺は、結志の脇からテーブルの上をちらりと眺め、見る見るうちに真顔になった。
「……なに食べてるの?」
「見りゃわかるだろ。朝飯だ」
 立ったまま食パンを咀嚼しながら、結志が答える。
「あ、朝飯ってそれ、食パン一斤だけだよね?」
「どこ見てる。こんなにバリエーションがある」
 と、結志はドヤ顔でテーブルの上に並べたマヨネーズにジャム、ケチャップにマーガリンなどを指し示す。
 最初はマヨネーズ、次はケチャップ、マーガリンの後、最後にデザート代わりにいちごジャムを塗って食べるのが結志流だ。
 ちなみに食費節約のために八枚切りの食パン一斤を朝半分の四枚食べて、残り半分の同じ味付けで昼飯として学校に持参したり、夕飯にしたりしている。
 なにげなくそれを告げると、泰惺の表情を絶望が支配した。
「結ちゃん、今まで自炊は……?」
「そんな暇あるか。飯作る暇があったらバイトする」
 きっぱりそう言い切ると、泰惺は不良生徒を更正させると決心した教師のような顔になった。
「こんな炭水化物オンリーの食事、僕が許さないよ! うちに来て!」
「お、おい……」
 半ば無理やり部屋から引っ張り出され、結志は片手に食パンを持ったまま有無を言わさず隣の部屋へ連行されてしまった。
 1DKの単身者向けの結志の部屋と違い、一階角部屋になる泰惺の部屋は2LDKで、ファミリー向けの間取りだ。
 アパートで自分以外の部屋へ入るのは初めてで、つい物珍しくてあちこち観察してしまう。
 冷蔵庫や立派なオーブンレンジなど、キッチン用品は最新のものがずらりと揃っているが、ほかには殺風景といっていいほど物が少ない。
 まぁ、あの立派なマンションがあるから当然かと思いつつ、テレビすらないのに驚いた。
 代わりにデスクトップとノートパソコンが三台設置されているデスクがある。
 よけいなものをすべて省いた、まさに仕事場という雰囲気の部屋だった。
「俺もう時間が……」
「いいから座って。すぐできるから」
 そう宣言すると、泰惺はキッチンに向かって手早く支度を始める。
 そして本当にあっという間にふわふわのオムレツを焼き上げ、たっぷりのシーザーサラダと食べやすくカットした色とりどりのフルーツをテーブルに並べた。
 おまけに、ミキサーにかけた搾りたての新鮮な緑黄色野菜と、フルーツのスムージーまで出てくる。
「さぁ、どうぞ召し上がれ」

続きは文庫で読んでくださいね。