「ごめん」
気まずそうな顔で謝る崇は、できることならいますぐここからいなくなりたい、とでも言いたげな、所在ない様子だった。
「ごめん。俺、そんな趣味ないんだけど。美久のこと見てたら、なんでだか…」
「別に気にしてねえよ」
それ以外に、何が言えたのだろう。
飲み会だった。酔っていた。おなじときにトイレに行った。トイレはひとつしか空いてなくて、おたがい譲り合っているうちに、なぜか一緒に入ってしまった。バカみたいだ、と笑って。笑いながら、相手の体に触れて。
いつの間にか、キスしていた。
どっちから始めたのか、どっちが先に離れたのか、それはもう記憶にない。
「いや、気にしろよ。男にキスされるなんて、普通じゃねえだろ」
あまりにも申し訳なさそうな崇に、自然と言葉が出た。
「俺、ゲイだから」
え? だれが?
頭の中の冷静な自分が突っ込む。
「きっと、いまも無意識に崇のこと誘ってたんだよ。こういうこと、いままでも、よくあったし。別に、セックスしたわけじゃねえんだから、気にすんなって。酒の席だ。忘れようぜ」
酔ってキスするなんて、よくあることだ。
自分はしたことないけど。
崇が初めてだけど。