舌に蕩けるような甘い味を感じた瞬間、咲耶は何を思う間もなく、それを啜っていた。
───なんて美味い。こんなに美味い気は初めてや。
十日間、ほぼ絶食状態だったから、ではない。これは咲耶が初めて知った、最上級……いや、最高の気だった。
あまりにも美味すぎて、眩暈がしそうだ。
夢中でその味を貪っていると、ふいに甘露が遠のいた。
もっと。
もっと欲しい。
咲耶はそれを追いかけて、舌を突き出した。するとすぐにまた、甘露を与えられる。
嬉しくて、美味しくてたまらなくて、縋りつくように両手を伸ばした。
ぎゅう、と温かいそれにしがみつきながら、咲耶は溢れる唾液ごと甘露を飲み続けた。
レンジが貸してくれた浴衣を着た咲耶は、布団の上でぐったりと意識を失っている。
咲耶をそっと腕の中に囲うと、清士郎はゆっくり顔を近づけた。
青ざめた頬に、目の下にできた薄い隈に、長い睫毛に、わずかに寄せられている眉間に、唇を押し当ててゆく。
そうして血の気を失っている唇に、己のそれを触れさせた。
少し荒れているがやわらかい感触の唇に触れた途端、腕の中の身体が、微かに跳ねた。