「……愛は崇高なものです。それを知らないなんて、紫龍様は可哀想だな、と……」
彼の形のいい眉がさらに寄せられたのを見て、オレは逃げたいのを必死でこらえる。紫龍様は何かを考えるような顔で、
「おまえは愛を知っているのか? それを人間に教えるのがおまえの仕事か?」
「……オレは……」
オレは少し考え、それから、
「……オレはまだ、愛とかわからないんです。だからあなたと同じです」
必死で答えるけど……彼には、オレが何を言ってるのか全然解らないに違いない。
「セクサロイドなのに、愛がわからない? セックスをしたことはもちろんあるんだろう?」
彼の唇から出た露骨な言葉に、頬が熱くなる。
……だけど、照れてる場合じゃなくて。
「セックスの経験はないです。オレはセクサロイドだけど……ちょっと変わり者なので」
彼は珍しいものでも見たかのような興味深げな顔でオレを見下ろし、小さく笑ってオレの顎から手を離す。
「薫艶、面白いものを作ったな。普通のセクサロイドに飽きたのか?」
博士は楽しそうにクスクス笑って、
「美しくて、一途そうで、心を揺さぶられるだろう?」