「……冴貴さん」
頭を上げた唐井に顎を掴まれた。ゆっくりと顔が寄せられる。
何をされるか、分かっていた。それでも目を閉じてしまったのは、たぶん、合意のサインだ。
唇が触れる。唐井のそれは小刻みに震えていた。熱い感触が何度も押し当てられ、その間隔がどんどん長くなる。
「っ……」
息苦しさに息が漏れた瞬間、唇が開かされ、舌が入ってきた。中を探るように動きまわるそれが、他人と久しくこんな形で接触していなかった体を瞬時に高ぶらせる。
歯列を辿られ、竦んでいた舌が引きずり出されて吸われても、抵抗できなかった。
流されていると分かっていても、目を閉じてしまう。再び唇を覆われて体から力が抜けていった。
気持ち良い。相手が唐井だと思うと、余計に。だって、こんなにも才能と魅力に溢れた男が、ずっと自分だけを好きでいてくれたのだ。嬉しく思わないはずが無い。
きつく舌が吸われ、引き込まれる。舌全体を絡ませるような深い口づけだった。こんなにも濃厚なキスは、恋人同士だって滅多にしないだろう。
濡れた音が耳に響いても、構わず貪られた。唇の端から含みきれない唾液がこぼれる。それも不快ではなかった。
「冴貴さん」
唇をもぎ離した唐井が、耳元に囁く。かけられた息は荒く、火傷しそうなほど熱かった。背筋に震えが走る。
「欲しい」