鳥谷しず/作
緒笠原くえん/イラスト


2015年10月20日
再会純愛
シリーズ名 花丸文庫BLACK
作品名 皇軍恋詩 紫の褥、花ぞ咲きける
巻数 全1巻
作家名 鳥谷しず/作 緒笠原くえん/イラスト
本体価格(税別) 741円
判型 文庫判
内容 男子の皇族はほぼ軍に属す、皇帝統治の軍事国家・神聖蓬莱帝国。敵対派閥であると知りながら如月宮家の嗣子・紫苑に惹かれてしまった涼白宮星華は、彼が結婚するまで、とその身を捧げるが……。
ISBN ISBN978-4-592-85136-3


P132〜134より抜粋

「そう、だな……」
「俺とお前は友だ、星華」
「ああ……」
 星華は目もとを赤らめて頷く。いきさつはいささかおかしいような気もするが、心からそう呼ぶことのできる友人を初めて得られた喜びが、胸に満ちていた。
「その顔だと、少しは機嫌が直ったようだな、星華」
「機嫌?」
「館では、ずっと浮かない様子だっただろう。何かあったのなら、隠さずにちゃんと話せ」
 もしかして紫苑は自分を心配して、この美しい薔薇の園へ連れてきてくれたのだろうか。そう思うと胸の中で喜びが増幅し、体温がじわりと上がった。
「何でもない」
「本当か? また、姉君に何か面倒な問題が発生したのではないか?」
「違う。本当に何でもない」
 気遣われることで心が弾み、星華は唇を淡くほころばせて、首を振った。
 紫苑の優しさや背後に感じる体温に、快感にも似た深い好ましさを感じる。幸福と、優しい芳香に満ちたこの時間がいつまでも続けばいいのにと思いながら、星華は「何でもないんだ」と繰り返す。
「なら、どうしてあんな顔をしていたんだ? 排卵期の憂鬱か?」
「馬鹿じゃないのか、お前は。男は排卵などしない」
「お前ならしそうだ」
 馬鹿、ともう一度こぼそうとして、星華は眉を寄せる。
 腰に当たっている紫苑のそこが、いきなり熱を帯びて硬くなったのを感じたのだ。
「……なぜ勃てるのだ?」

続きは文庫で読んでくださいね。