高岡ミズミ/作
斑目ヒロ/イラスト


2015年10月20日
人外俺様
シリーズ名 花丸文庫BLACK
作品名 ニライカナイ〜此岸の徒花〜
巻数 全1巻
作家名 高岡ミズミ/作 斑目ヒロ/イラスト
本体価格(税別) 741円
判型 文庫判
内容 生者の心の声が聞こえる池端清貴。誰とも距離を置くしかなかった彼の前に、地獄で殺戮の限りを尽くす閻魔王の道具・大鉈の鉈弦が現れた。心の読めない初めての相手に清貴は……。シリーズ第二弾!
ISBN ISBN978-4-592-85134-9


P40〜43より抜粋

「やめろっ」
「マグロになってりゃいい。久々の人間だ。人間はいい匂いがするし、体液も甘い」
「厭だと言っているんだ!」
 まったく会話が成り立たない。鉈弦は清貴の言葉をことごとく無視する。
「とにかく、今日はやめてくれ。地獄へ行ったせいか、本当に疲れてるんだ」
 なんとか宥めようとしても、鉈弦を思い止まらせるのは難しい。彼の中心はすでに硬く猛っていて、強い昂奮が清貴にも伝わっていた。
「閻羅王が──」
 ふたたび閻羅王の名前を口にした。が、逆手に取られてしまう。
「閻羅王は、おまえを怒らせるなと言った。速やかに事態を収拾するために、うまくやれとさ。裏を返せば、おまえはどれほど俺に腹を立てようとこの仕事を断らないってことだろう? ああ、もしかして断れないのか? 閻羅王に恩があるか? それとも弱みでも握られてるってか?」
「……っ」
 ひとの気も知らず面白半分に探ってくる鉈弦に、唇を噛み締める。恩も弱みもあるが、その両方ともおまえに関することだと言ってやったら、どんな顔をするだろうか。
 閻羅王は鉈弦に居場所を与えてくれたと同時に、あのとき清貴が騙した事実を黙っていてくれた。
 どちらにしても、いまの清貴に選択肢はなかった。
「……わかった。手伝ってやる。それで勘弁してくれ」
 鉈弦を刺激しないよう、下手に出る。鉈弦を止めるのは難しくても、代わりの提案をして譲歩させることは不可能ではないはずだ。
「明日、出発できなくなったらきみだって困るだろう」
 清貴の問いかけに、束の間、鉈弦が思案顔になる。やっと話が通じて、清貴は言葉を重ねていった。
「俺がついていけなくなったら、誰がおまえを人形にするんだ? こんなところで無駄な時間を食うと、きみの名前に傷がつく」
 畳みかけた清貴に、鉈弦が不満げに舌打ちをした。
「ったく、人間ってヤツはヤワな生き物だよ」
 どうやら交渉成立のようで、鉈弦の一言にほっとする。
「──退いてくれないか」
 これについては無視される。清貴に跨がった姿勢で狩袴を解き、いきり立った自身のものをあらわにした鉈弦は、早速実行に移した。
「手を、添えればいいか?」
 さっさとすませてしまいたくて、自分から持ちかける。
「黙ってろ」
 一蹴されて口を閉じたあとは、至近距離で鉈弦の自慰を見せつけられるはめになった。
 早く終わってくれ。それだけを祈っているうち、鉈弦の手がまた胸に押し当てられる。
「鉈弦っ」
 約束したはずだと非難をすると、ぎろりと睨めつけられた。
「触るだけだ。いちいち騒ぐんじゃねえよ」
 それでも不安で身体を硬くしていた清貴だが、言葉どおり胸以外に手が伸びることはない。胸だけなら、減るものではないし好きなだけ撫で回せばいい。目を閉じて、終わるまで耐えるだけだ。
 徐々に鉈弦の息は上がっていく。もう少しだろうか。じっとして待つが、なかなかその瞬間は訪れない。
 そっと片目を開けてみる。と、鉈弦と視線が合い、覚えず息を呑んだ。


続きは文庫で読んでくださいね。