「メロディ」で大人気連載中の『陰陽師(おんみょうじ)』(岡野玲子/夢枕獏・原作)が今年度の大賞を受賞しました!

※この賞は故・手塚治虫氏の業績を記念して1997年に創設され、今年で5回目を迎えます。2001年6月7日、東京・帝国ホテルにて賞の贈呈式および祝賀パーティーが開催され、なごやかな雰囲気の中、岡野先生と夢枕先生も揃って出席されました。

 優雅で趣深いイメージの平安時代。たしかに都の貴族たちは華やかな暮らしをしていたけれど、およそ1200年前は電気もガスもない時代。夜になれば、都といえど真っ暗闇。医療が発達していないから疫病もはやりまくるし、天災にもめっぽう弱い。人々はその原因を闇にひそむ怨霊や悪鬼のしわざと考え、おびえていた。
 そこで登場したのが、中国から伝来した陰陽道と呼ばれる学問。天文・気象・地理を観察し、あらゆる知識や技術を学んだ陰陽師たちが、政府の機関として公式な暦を作成したり、政(まつりごと)の吉凶を占うようになった。そして、怨霊や悪鬼を退治するのもまた陰陽師の仕事だった。中でも特に有名なのが、本作の主人公・安倍晴明(あべのせいめい)。彼に関する記録や伝説が今もたくさん残っている。

 そして、幻想小説などで知られる作家・夢枕獏先生が安倍晴明の活躍をあざやかに小説化したのが原作の『陰陽師』。実在の人物から着想を得て描かれたこの作品には、夢枕先生独自の設定が生かされている。たとえば、晴明の友人として登場する源博雅(みなもとのひろまさ)。彼も実在の人物だが、文献上では二人が出会ったという記述はないのだ。
 原作に惚れ込んだ岡野玲子先生は、自身でも研究・取材・考察を重ね、独自の『陰陽師』の世界を確立。抜群の感性と上質のユーモアによって、晴明や博雅らの人物像は深みを増し、謎の少女・真葛(まくず)などのオリジナルキャラクターも数多く誕生。絵巻物のような、美しくあやしい世界を創りあげた。
(C) 岡野玲子・夢枕獏/白泉社