現在メロディで連載中の『天上の愛 地上の恋』が大人気の加藤知子先生。
ストーリーのお話を中心に、たっぷりお話をうかがいました!


(C)加藤知子/白泉社 禁無断転載


ルドルフたちは何語で話す?

Q まず、まんが家になられたきっかけを教えてください。また、まんが家になっていなかったらどんな職業についていたと思いますか。
加藤先生:ふつうにこつこつとマンガスクールに投稿して、どうにかこうにか受賞したのがきっかけです。まんが家になっていなければ、一応教員養成の学校に通い免許も取ったので、中学の美術の先生。…でも近頃のニュースを見て、ならないでよかったと心の底から思ってますが(笑)。

Q いまハマっていることは何ですか?
加藤先生:今年の夏にパソコンを購入して、現在インターネットの世界の入口付近でうろうろしています。取材や調べものに便利だと聞いて導入したのですが、何だか仕事中にフラフラと吸い寄せられていく、逃避場所になりつつあるかも。

Q 現在「メロディ」で連載中の『天上の愛 地上の恋』を描いたきっかけは東欧への旅行だったそうですが、旅行はよく行かれるのですか?
加藤先生:近頃はあまり…。今年の秋に東欧に行きましたが、2年半ぶりの海外でした。実は前回エジプトへ行ったのですが、そこでひどく体調をこわし、ふらふらになって戻ってきたので、ちょっと腰がひけていたのです。でも、久々に行った今回の旅は楽しく無事に終わったので、今は機会さえあればまたどこかに行きたいと思ってます。もちろん海外だけではなく、近場の温泉なぞにも行きたいのですが、どうもこのところ温泉ともだちが枯渇していて…。求む!かとうの温泉ともだち。平日に、ふらふらと共に温泉に行ってくれる方、連絡おまちします…って、いないよなー…。

Q 私で良ければ、いつでもお供します(笑)。歴史物というジャンルを描くにあたって、これまでとは違う苦労はありましたか?
加藤先生:それは…苦労といえば苦労のみ、なのですが。ただ途中で、「これはパロディなの」と、いろいろ悩むのを放り出してしまったので、今ではずいぶん楽に描いています。歴史…というレベル以前に、当初は一応ドイツ語圏での話ということで、セリフを「ストップ!」なんて言わせてよいものなのか?とか、何とも妙なことでつっかかっておりましたから。

Q なるほど…。ご自身では歴史小説などは読みますか?
加藤先生:読みます、というほどには読んでいません。昔読んでいたのは司馬遼太郎や池波正太郎、宮尾登美子…という歴史小説というより時代小説?というあたりで。現在は塩野七生先生にトライ中なのですが、今年に入りとんと進まなくなってしまったので、「好きな作家様です」なんておこがましくて言えません。本だけは買って、どんっと本棚の一角を占領しているんですけどね。

『天上の愛 地上の恋』に合う音楽は?

Q お仕事中にBGMなどはかけますか?「天上の愛 地上の恋」に合う曲は?
加藤先生:このところ、居間でテレビをつけっぱなしにしておくというスタイルが定着してしまったので、今はあまり…ですね。聴いていたころは、ドヴォルザークや、ヨハン・シュトラウスあたりを流していました。作品に合う…というか、私が勝手にイメージを重ねているのは、中島みゆきさんの「二隻の舟」。この世界を目指して作品はすすむ…はず。それから、ちょっと質問から離れますが、ウィーンの雰囲気にふれたいという方は、毎年お正月にNHKで放送されるウィーンフィルのニューイヤーズコンサートがおすすめです。当時のウィーンで流れていた、私たちにもなじみのある楽曲で構成されていますから。

Q ハプスブルク家、中でもルドルフに興味を持たれたのは、どうしてですか? ハプスブルク家の人間の中では、ルドルフよりも母親のエリザベートを扱う作品が多いですが…。
加藤先生:正直なところ、オーストリアという国や歴史については、ほぼ白紙状態だったんです。だから、なぜ?と問われるなら、たぶん理由は私が白紙だったからなんだと思います。ルドルフについても、同様のことがいえますね。何も認識していなかったところにどっかんと降ってきたので、びっくりしてしまったんです、きっと(笑)。その点、ママさんに関しては、前々から知っていました。でも、ルドルフの視点でずっと見てきてるせいでしょうかね、彼女の言動に共感するところはないんですよ。

これからのルドルフとアルフレートは!?

Q それでは、先生ご自身がお気に入りのキャラクターは?
加藤先生:………ベルトルト・バーベンブルクです………。いえ、私という人間を知っている方々には、おそらくとっくにバレバレなことだったろうとは思いますが。ヨハン・サルヴァトールも好き。アレクサンダーも捨てがたいものがある。主人公の2人については、まだちょっと…。まだ、というのは、今後の展開でお2人ともいろいろとお変わりになるので、その時になったら、かなり入れ込む可能性もあるかな、ということで。

Q ルドルフとアルフレートは、動と静という風にまったく性格が異なっていますが、先生ご自身はどちらのタイプに近いですか。
加藤先生:どちらも違います。ルドルフの、自分勝手で、キライだと思った人間にはかなり極端な真似をするところと、アルフレートの、物事に他人様の2倍の時間かける気かい?というどこか悠長なところ、実はおまえってすごいガンコ者だろってところは似ている…かな。要するに、キャラの持っている短所は、みんな私の血筋から出たものではないかと…(笑)。

Q これから、ルドルフとアルフレートの関係はどうなっていきますか?
加藤先生:ええと、少なくとも、この先、2人が幸せにつつがなく一生を送るということはないです。そういう展開には誰にどう泣きつかれてもなりません。これからアルフレートは成長します。それが2人の関係に大きな変化をもたらすことになると思われます。キーパーソンは言わずもがなのベルトルト・バーベンブルク。さすが作者の愛がそそがれているだけある…。

Q 最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
加藤先生:ガタピシでこぼこ道をはるか遠くの山の向こうから共に歩んでくださった方、峠の向こうで生き別れ、最近になって驚きの再会を果たしたという方、昨今ひょんなことで関わって、この道中への参加を決めたという方、すべてをひっくるめまして、どうもありがとうございます。こんなに暗くて痛い話に、よくぞおつきあいくださいました。以前から私の作品を読んでくださっている方の中には、何でこんな作品に加藤が執着するのかわからないと正直思っている方も多いのではないかと思います。実のところ、私自身がいちばん自分にあきれていますから。まだゴールは山の向こうで見えません。また、途中で脱輪なんてコトもおきるかもしれません。けれど、もし私がゴールできたなら、私と一緒にどうかこの作品を振り返ってください。そのことがたぶん、この作品の意味になる。そんなふうに思っています。どうぞよろしくお願いいたします。