河惣益巳
今回は画力の面で水準に達している作品がほとんどなかったな…という印象です。都合の良すぎる展開が多いのも気になりました。そんな中で「私の好きな相馬くん」は一歩抜けた画力があり、主人公の女の子の可愛さに好感が持てました。また「ロマンチスト・エゴイスト」はエピソードが高校生にしては幼いとは思いましたが、ストーリーのテンポが軽快で、オチも楽しかったです。
清水玲子
毎回審査していることを忘れるくらい楽しいアテナ大賞。残念ながら今回はあまり楽しませてくれる作品に会えませんでした。とはいえ新人賞に選ばれた3作品はそれぞれ個性的で、既成作家にはない、いろんな可能性を感じます。特に「エナマニア」は絵が色っぽくてキュート。これは素晴らしい武器です。もっともっと磨きをかけてさらに別の武器も装備して、いつか長編や連載も描けるよう頑張ってください。

仲村佳樹
白泉社で最も伝統のある漫画賞の審査に今回、初めて参加させて頂きました。ややストーリーの構成が雑な作品が多いように感じましたが、受賞した作品はそれぞれに光るものがあると思います。特に、「私の好きな相馬くん」は、キャラクターに魅力があり、引き付けられました。「ロマンチスト・エゴイスト」のコメディセンスも印象的。武器を活かす構成力を磨いて、さらにレベルアップして欲しいです。
成田美名子
絵は合格点、お話もまとまっていて読みやすい作品が多かったと思います。近頃は読みにくい作品が増えている気がするので読者への気遣いが感じられます。でもオチも読めてしまいますが。「私の好きな相馬くん」は主人公たちが片方だけでなくお互いに戻ろうとする展開に納得できました。「ロマンチスト・エゴイスト」は元気があり、「ココロのススメ!」は面白い設定勝ち。感情移入はしにくいかも。

山田南平
上位に入った人もそれ以外も、画力や見せ方の基本は押さえている人が多かった印象です。定番の設定を自分なりに見せようとしている人が多く、成功している人と失敗している人がいました。定番の設定は、他と違う工夫や作家自身の個性が必要になってきます。「エナマニア」と「ガーディアンジョーカー」は、それぞれキャラの個性や台詞回しの機微に優れていました。
羅川真里茂
今回はファンタジーと、絵柄に魅力がある人が多かったですね。気になったのは、全体的にシリアス→ギャグ(つっこみ)というテンポがパターン化しつつあること。また、絵は上手で魅力ある人が多かったですが、イラスト絵みたいで、ストーリーが薄くなっています。全体を通して、とび抜けた差はなかったので、ネームの方にも魅力があれば、その人がとび抜けるチャンスがある!! と思いました。
★五十音順・敬称略 

受賞作は、各誌にて順次掲載の予定です。また今回は、尼乃都さんの「復讐ハニィ。」、榎木ゆ子さんの「センチメンタルノート」、seicoさんの「OVER FREEDOM」が最終選考に残りました。なお、次回の白泉社アテナ新人大賞の応募要項は、2008年5月発売の各誌で発表の予定です。

編集部より
前年に続き、今回も残念ながら大賞は選出されませんでした。絵柄や画力は高レベルな作品が多かったですが、キャラやストーリーの面で今一歩弱かったのが残念です。皆さん、面白くなりそうな設定やシチュエーションまでは思いついても、上手く料理しきれてない印象です。そういった設定の中で「自分が」「一番」「面白い」と思う部分を、もっとハッキリと判り易くアピールして頂きたいと思います。

花とゆめ編集長・高田英之
今回はそれぞれ個性的な7作品が受賞となりました。華やかな絵が光った優秀新人賞の真柴さんはじめ、今後大いに期待できる才能と出会えたと感じています。しかし現時点で突出した作品はなく、大賞を出せなかったのは残念。審査していて、設定は面白いのに…と感じることが多かったです。キャラの魅力をさらに輝かせるために、エピソード・シーンをどう見せるか、もう一歩練りこんで下さい。それが作家としての武器になっていくはずです。

別冊花とゆめ編集長・八巻健史

まんがに限らず、各種の技能を身につけるには弛まぬ反復練習が大切になってきます。今回、優秀新人賞を獲得した「私の好きな相馬くん」の画面からは、日々の努力が感じられ、大変好印象を受けました。アイデアや構成に若干の物足りなさがあったため、大賞獲得には至らなかったものの今後の活躍に期待が持てます。  投稿者の皆さんは、どうしたら最短でデビューできるかを考えるのではなく、どうしたらより多くの練習ができるかを考えて、次回作にチャレンジしてみて下さい。

LaLa編集部 柳沢仁
真柴さんの作品は最近では見慣れた設定ながら最後まで楽しく読ませてくれたのが三重丸。新人賞3名中では来海さんの作品が勢いがよく読み手を物語に引っ張り込む力があります。高柳さんは絵・見せ方はOKですが話に達成感が欲しい。壱春さんは今の画面を味とせず読者にもっと伝わりやすくなるよう注意してください。プロとは「なる」より「あり続ける」事に不断の努力がいる世界。いつも物語を考え、常に「描きたい話」が数本ある新人時代を送れますよう。

メロディ編集長・飯田孝